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2009年7月23日

後だしジャンケンの是非

違憲が一つ、合憲二つ
 平成16年の土地建物の譲渡所得と他の所得との損益通算を廃止する税制改正は4月1日施行のものを年初に遡及適用させるというものだったので、実行の時の法律では譲渡損部分を他の所得から控除できるとの規定で税負担を予測していた人の税負担は予想外に大きなものになりました。
 この事例につき遡及立法の是非を問う裁判の判決が今年3件あり、1件はこれを憲法違反とし、他の2件は逆に合憲としました。どれも高裁で現在係争中です。

及立法ではないとの理由
 合憲判決によると、所得税は期間税で、期間の終了を待ってはじめて所得が確定するのだから、納税義務の確定日としての12月31日からすれば遡及には当たらない、とされています。
 しかし、納税義務の確定日は暦年終了日とは限らず、年中に死亡とか、海外出国の場合は3月31日以前に納税義務が確定してしまうことは大いに有り得ることですから、合憲判決の言い分は理論的に誤っています。
 また、不動産取引など一生に1度か2度か3度かするくらいのもので、同年中に別な取引をすることなどほとんど有り得ないわけですから、改正法下では、一度の行為時点で納税義務の内容は実質的に確定してしまいます。それを、形式論で歴年末の納税義務確定を言うのは詭弁です。

遡及立法だとする違憲判決
 違憲判決は、納税義務の確定については合憲判決と同旨ですが、遡及適用に当たるかどうかについては、既存の納税義務の内容を変更するものかどうかではなく、既存の行為に適用されるものであるかどうかで判定すべきものとしています。
 理由として、期間税の場合であっても、納税者は、その当時存在する租税法規に従って課税が行われることを信頼して、各種の取引行為等を行うのであって、そのような納税者の信頼を保護し、国民生活の法的安定性や予見可能性の維持を図る要請は、期間税であるかどうかで変わりがないから、としています。
 納得できる論旨です。でも、これは少数派的見解であるところが残念です。

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