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2010年8月 4日

2重課税につき取消せ

年金保険への課税の現況
 相続税法では、年金は年金受給権として評価され、相続財産として課税されます。その後、年々の年金受給が始まると、雑所得として所得税が課税されていました。
 ただし、年金で受けとるのではなく、一時金で受け取ることにした保険金については、相続税がかかるだけで、所得税はかからないことになっていました。


年金と保険一時金の相違
 一時金なら非課税ということは通達に書かれていたのですが、その通達は、所得税法に、「相続により取得するものには所得税を課さない」という規定があったことに根拠を置いています。
 でも、法律には、年金の場合は課税できる、との規定はありませんでした。国側の解釈は、相続税と所得税の課税のタイミングが同時のもので、いかにも2重課税が明白なものに限定しての非課税規定、というものでした。

長崎からの告発
 税理士も、なんとなくへんだ、と思いつつ、所得税法の解釈について、国の言うことに流されていたところでしたが、長崎の相続未亡人とその関与税理士は、国の言うことに納得せず、相続課税後の年金所得に所得税をかけるのは2重課税であると主張して裁判に訴えました。
 裁判の経過は次の通りでした。

平成18年11月 7日 長崎地裁 勝訴
平成19年10月25日 福岡高裁 敗訴
平成22年  7月 6日  最高裁 勝訴

 最高裁での2重課税禁止判決はニュースで大きく取り上げられましたので、ご存じのことと思います。

国税のすばやい対応
 最高裁の判決後、類似のケースには、過去5年分につき、更正手続により還付し、もっと古い分については、立法的に手当てすることを検討する、と財務大臣が即座に表明しています。
 この素早い対応は、判決への国税庁の真摯な姿勢のように見えますが、穿った見方からすれば、判決の及ぼす税制への衝撃を、年金問題だけに食い止めようとしている思惑にも思えます。なぜなら、相続税と所得税との2重課税は、年金だけのところにあるわけではないからです。

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